SDRでソフトウエアラジオ



 ◆SDRドングル RTL-SDR と MSi.SDR

 ◆SDR受信アプリケーション HDSDR、SDRuno、SDR Console V3

 ◆受信用マグネチックループアンテナ


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SDRとは従来のコンバージョン方式ではなく、受信信号を直接A/D変換によりディジタル信号に変換しこれをPCで処理する受信方式です。SDRが登場したのはかなり以前だったと思いますが、当時は「面白そうだなア」と思っても、それこそ固定リグが買えるような価格でした。

それが最近になりSDR方式のトランシーバーが登場したり、SDR自体もかなり安くなってきたことでようやく試してみよう、という気分になりました。

MSi.SDR と SDR Consol V3 でFM放送帯(78MHz〜88MHz)を受信(Win10、64BitPC)

◆SDRドングル RTL-SDRとMSi.SDR


PCのUSB端子につなげるUSBドングルの形式で、ソフトウエア受信基板(チューナー)を装備しているモノをSDRドングルと呼んでいるようですが、そもそもはSDRplay社が発売したRSP1が最初だと思います。この RSP1 はA/D変換の分解能が12bitでしたが、現在は14bitのRSP1Aを初め数種類のSDRドングルが販売されています。

しかしその価格は20K前後で「一つ試してみるか」と買える価格ではなく、SDRをやってみようと思ってもなかなか手を出すことはできませんでした。そこに数年前から(例によって)あの国から安価なSDRが数千円で販売され初め、これならダメもとで試しにやってみようと思い購入してみました。

最初に試したのはRTL-SDRという3K程度のSDRドングルです。RTL-SDRはA/D変換の分解能が8bitで受信範囲は24〜1700MHzとなります。これよりそれ以下の周波数はアップバーターを使うのが一般的になりますが、このドングルは(アプリに依存しますが)ダイレクト・サンプリングモードという機能を持っていて、アップバーターなしでHF〜MFを受信することができます。

次に試したMSi.SDRは、A/D変換の分解能が12Bitで受信範囲は10KHz〜2GHz、これはSDRplay社が最初に発売したSDRP1(12bit)のクローンでSDRPlay社の半分以下の価格で入手することができます。MSi.SDRについては、おもしろいことにSDRPlay社のユーザー交流ページでその性能を検証した記事があり、それによると結構マトモに動くとの評価がありました。

数千円で購入できるSDRドングル
      RTL-SDR               MSi.SDR
そこでこれを試してみようとJAのショッピングサイトを幾つか探したところ、以前は単体で売られていたものが現在はアンテナ?、コードなどを含めたセットでしか見つかりませんでした。要らないものが付いているので価格も結構高いので、JA以外のショッピングサイトを探したところ、製造国(B)のサイトで2Kほど安かったので発注しました。

RTL-SDRを使うには、マウスや外付けHDDと同じようにUSB接続機器としてRTL-SDRのドライバーをインストールしてPCのディバイスマネージャーに登録される必要があります。これには以下のステップをこなしていくことになりますが、最初はスンナリと行きませんでした。
 ・ExtIO_RTL-master.ZIPをダウンロードして解凍し、ExtIO_RTL2832.dll を用意する。
 ・ドライバーインストールのための Zadig.exe をダウンロードしてインストール。
 ・Zadigを実行してドライバーをインストール(ただしWin10、Win7、WinXPでは少しづつ異なる)。
 ・ドングルをUSB端子に挿し、デバイスマネージャーで RTL2832U が表示されていることを確認する。

一方 MSi.SDR はこのようなインストールは必要なく、SDRアプリのインストールの中で設定されディバイスマネージャーにも登録されません。価格はRTL-SDRの2倍以上しますが、RTL-SDRA/D変換の分解能は8bit)の受信可能な帯域が最大3MHzであるのに対しMSi.SDR(A/D変換の分解能は12bit)は10MHzになります。

使ってみた感想ですが、受信感度や雑音、S/Nなどはあまり差がないように思います。ただしRTL-SDRのダイレクト・サンプリングモード(20MHz以下)は、その原理上イメージ妨害により受信周波数帯によってはS/Nがあまり良くない場合があります。

またRTL-SDRは発熱量が多く、手で触ってもかなり熱くなりますので「通常使用では大丈夫」とされていてもあまり気持ちが良くありません。さらにUSBコネクタの接触が悪く、受信中に少し動かしただけで「外した」とPCに判断されアプリが固まってしまうことが頻発しました。一方MSi.SDRはこのようなこともなく、もしSDRをやってみようと思われるなら最初からMSi.SDR購入がオススメだと思います(もちろんSDRPlay社のSDRドングルがベストチョイス)。

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◆SDR受信アプリケーション SDRuno、HDSDR、SDR Console V3


SDR受信アプリケーションで良く使われると思われるSDRPlay社のSDRsharp(SDR#)、SDRuno、I2PHD 開発のHDSDR、Softwere Difine Radioが提供しているSDR Consol V3について試してみました。これらのアプリはSDRPlay社のホームページでインストールまたは外部インストールページへの案内があります。

SDRPlay社のSDRsharp、SDRunoは同社が販売しているRSP1AなどのUSBドングル用のアプリで、シンプルで軽いSDRsharp、本格的なSDRunoといった感じですがRTL-SDRは使えません。

SDRunoを起動すると最初に7個のウインドウが個別に展開されます。SDRunoではこのウインドウを(上に現れた2つのウインドウを除いて)任意の場所に移動し、また拡大縮小することができます。
 
SDRuno起動画面             2つのウインドウを消してスペクトラムを展開
SDRunoはソフトウエアラジオの「本格的」なアプリケーションで、NSi.SDRの受信可能最大帯域10MHzを2〜10MHz(1MHzおき)に設定できます。また例えば周波数ウインドウの表示帯域の拡大縮小、ウォーターフォール/スペクトラムの同時表示/片方表示などかなりカスタマイズが可能で、全体に精緻な表示がいかにも「受信機」らしさを感じさせるアプリです。

HDSDRはハムが開発したアプリで、トランシーバーとの連携を考えて作られたように思えます。HDSDRはRTL-SDRも使用可能ですが、受信周波数が20MHz以下とそれ以上でソフト上のスイッチ切替が必要になります。なおHDSDRをインストールした後に、手動でHDSDRがあるフォルダに ExtIO_RTL2832.dll を置いておく必要があります。

HDSDRでMW帯を聞く場合は「ExtIO」をクリックして「HF Direct Sampling」を「Disable」から「Qinput」にします。これは20MHz以下ではダイレクト・サンプリングモードになるためでモードの切替を行う必要があるためです。
 
 HDSDRでFMバンドを受信           7MHz帯の受信(拡大モード)
SDR Console V3 はHDSDRのように1つのウインドウで構成されていますが、非常に機能が多く、またそのメニューの配置などがOfficeなどのメジャーアプリに似て使いやすくなっています。

SDRunoも多機能ですがこちらの方が使い勝手が良いように思えます。またHDSDRに比べスペクトラムとウォーターホールの大きさが変えることができ、またその表示がSDRunoのようにキレイです。しかしやや重たいため、PCのメモリが少ないと受信帯域を広く取れません。例えば 2GB程度では3MHz、4GBでは6MHz以上で動かすとカクカクや一旦停止が始まります(RTL-SDRでは最大3MHzなので関係なし)。

またこの受信可能帯域はCPUの性能にも関係しますので、12Bit以上のSDRドングルで SDR Console V3 を使うには、Windows 10 が動いてRAMが8GB程度以上あるPCが望ましいと思います。なお SDR ConsolV3 は、Win7版と Win10版とではわずかですが違うところがあります。
 
SDR Console V3 でFM放送帯を受信        7MHz帯を受信
それぞれのアプリを比べてみると、まずSDRunoはウインドウが分かれているために、起動するたびに配置をセットする必要があります。またどちらかと言うとSDR受信機用と言う感じで実際に空に出ようとするまでヨッコラショと言う感じになります。

HDSDRで不満な点はスペクトラムの上下幅が変えられない点と、ウォーターホールが必要以上に幅広な点です。しかしワンクリックですぐ動き出し、同時に複数のHDSDRを起動できること、クリックすると音声がミュートされトランシーバーを送信にできる「TX]メニューがあることなどは便利だと思います。

SDR Console V3はスペクトラムとウォーターホール表示幅を自由に変えることができ、スペクトラムのベースレベル、受信帯域幅とその位置などを変えるメニューが非常に洗練されており、また複数あるSDRドングルを容易に切り替えることもできます。ただし起動に少し時間がかかるのがマイナス点です。

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◆受信用マグネチックループアンテナ


SDRの受信アンテナとしてマグネチックループアンテナ(MLA)が多く取り上げられています。形状は直径1m未満のループで、受信専用なら同軸ケーブルをグルっと回し、その先端のシールドを剥がして芯線だけを取り出し、これを元のシールドに接続するだけの簡単な構造ですぐ作れます(不平衡型)。難しいのは「美観」の問題で、円形に保持する構造が一工夫要ります。
 
マグネチックループアンテナの構造     製作したマグネチックループアンテナ(フラフープ使用)
直径1m程度の円と聞くと誰でも思い浮かべるのがフラフープですが、特に百均で買える簡単なモノが同軸ケーブルをその中に入れるには打ってつけで多くの製作例がネットで見られます。そこで取敢えず2セット購入しMLAを作ってみることにしました。
 
百均で買えるフラフープ             一周6個のところ3個足して約1mΦにする
このフラフープは6個の弧片を差し込んでいくと直径70cm程度になりますが、ここでは1mΦを目指し3個を無理やり増加して約1mΦにしてみました。このフラフープを配線用部品の露出用丸形BOXに差し込んで同軸先端を引出し、また同軸先端の処理を行っています。

これをポールに差し込むために丸形BOXの裏に配電部品のクランプで20Φのアルミパイプを固定しました。またフラフープがカラフルなので周りから見られて恥ずかしくないようにテープを巻いておきました。これはエアコン配管用のものでそれ自体は接着しませんが、その分安く入手できます。

ここでフラフープを丸形BOXに差し込んで固定しただけでは、フラフープをしっかり保持することはできないので、丸形BOXからフラフープの先端までアルミパイプを伸ばして固定しました。ところが何か感度が良くない気がしたのでいろいろと検討した結果、このアルミパイプを非金属(ここでは竹)にしてみました。

その結果は上々で、マグネチックループアンテナはマストの延長になる金属パイプがその中央を貫く構造ではうまく無いのでは、という結論になりました。これはマグネチックループアンテナが磁界型アンテナであることによるのでしょうか?

 
配線用部品の露出用丸形BOXに差し込んで同軸処理    20Φのアルミパイプをクランプで固定
ディスコーンアンテナ(右奥)とFM放送帯を受信して比較
出来上がったマグネチックループアンテナの性能ですが、別に
建ててあるディスコーンアンテナとの比較をしてみました。


このディスコーンアンテナはAOR製で受信帯域が25MHz〜
3000MHzですが、両アンテナとも地上高は8m程度です。


ディスコーンアンテナの受信帯域からFM放送帯を受信して比
べてみました。これを見ると信号強度はほとんど同じですが、
部分的にマグネチックループアンテナの方が強い信号がありま
す。

FM放送帯を受信(マグネチックループアンテナ)     ディスコーンアンテナで受信
またノイズやベースレベルもほとんど同じなので、百均で作ったマグネチックループアンテナはディスコーンアンテナ(結構高価)と同等かそれ以上と言えるかもしれません。

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